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【ハワイのコンド購入】建物は何百年も持つが、中身はそうはいかない -ハワイ・ビジネス・マガジン-

ハワイにコンドを持っておられる日本人の方は多いと思います。新しいうちはいいですが、古くなるとどうなるか、ハワイ・ビジネス・マガジンの記事を参考にしながら、解説します。

大規模修繕積立金

日本では、古い分譲マンション(コンド)をどうするかが一つの社会問題になっています。私も、いくつもの不動産業者や団体、国土交通省などのグループの米国コンド見学ツアーのお世話をしたことがあります。日本では、鉄筋コンクリートのコンドは、何十年しか持たないと考える人が多いようです。そのためか、共益費も米国に比べると少なく、保守が行き届いていない物件も多くみられます。

米国では、この記事の題を見てもわかるように、建物自体は何百年も持つと考えます。共益費も高く、私が住んでいるコンドはちょうど築40年ですが、90平米の2LDKで月$1,136です。プールなどのアメニティーが多いことや、警備にお金をかけていることも高い理由の一つです。ただし、新築購入時に一括で積立金を払うということはありません。

ハワイでは、20年ほど前、大規模修繕費を一定以上積み立てなければならない法律ができました。向こう20年間の大規模修繕費の50%を常に積み立てていなければならないというものです。当時、その基準からは程遠い額の積立金しかないコンドが多く、私のコンドもその一つでした。6年前に購入したとき、$877でしたが、50%達成のために毎年値上げをしていました。築後20年間、まだ新しくて保守費用がそれほどかからない時期に、将来に備えて十分な積み立てをしていなかったことが原因だと思われます。

 

配管

それでは主な大規模修繕の内容を一つ一つ見て行きます。配管は、築40年ころから計画を始め、45年ころには修繕工事をするべきで、50年も経つといつ何が起こるか分からないそうです。ファニーメイや住宅都市開発省のサイトには、鋳鉄管は少なくとも50年は持つと書いてあります。鋳鉄の品質も改善されていると思いますが、ハワイは、潮風の影響で、通常よりは耐用年数が短いでしょう。

工事はかなり大変で、通常始める前に説明会をします。壁に穴を開け、アスベストがある場合は取り除き、管を交換して元に戻します。40~60人のチームで一気にやって、小さなビルなら2か月、大きなものは1年半くらいかかります。費用は、平均的な1LDKで$2万ほどだそうですが、状況によってかなりの差があります。また、どの管が共用部分で、どこからが個人のものであるかによって、一部が個人負担になることもあります。

 

コンクリート剥離

コンクリートの剥離は、水分で鉄筋が錆び、膨れて爆裂することが原因です。築15~20年ころから兆候が現れ始め、30年も経つと本格的な修理が必要です。ラナイ(ベランダ)に水が溜まり、手すりの柵から水分が吸収されることが多いので、ラナイは要注意です。2016年、アラモアナショッピングセンターで手すりが落ちて一人亡くなったことがありましたが、これも、原因は手すりではなく、手すりの周りのコンクリートの剥離でした。配管同様、ハワイの潮風も原因の一つです。

剥離の修理で大切な点は、待てば待つほど修理費が劇的に増えることです。ビルは、通常10~15年に一度塗装しますが、その時に同時にやるのが経済的です。長い間放っておくと、窓枠からも水が浸透し、剝離の原因になります。爆裂がコンド内部まで進むと、工事のほこりが散らないようにプラスチックの壁を設け、中の空気圧を下げて作業をしなければなりません。築後10~15年の修理なら平方フィートあたり$10もしませんが、さらに10年放っておくと、その20倍以上かかります。

爆裂が見つかると、削岩機でコンクリートを取り除き、鉄筋の錆止めをしてきれいに元通りにします。同時に塗装をすると、修理の形跡は残りません。20~30階建てのビルで、10人がかりで半年くらいかかりますが、塗装や窓の防水などの作業を同時にすると、1年くらいかかります。爆裂がひどいと、もっとかかりますが、部屋を退去する必要はありません。塗装の上に防水材を塗ると、20年くらい持つそうです。

費用は、ラナイがなければ1戸$500~2,000。ラナイがあると、$15,000くらいかかることもあります。

剥離が起こりやすいもう一つの場所は、プールなどのあるレクリエーションデッキで、30~40年に一度修理が必要です。駐車場やビルの屋上にあるデッキは、地盤沈下でひび割れができることもあります。デッキの修繕は、植栽など、防水加工の上にあるものをすべて取り除いてやり直さなければなりませんので、$150~400万くらいかかります。

 

窓と手すり

窓や手すりの耐用年数は30年くらいです。防水材を塗ることは助けになりますが、水が染み通った後にしても意味はありません。防水だけでなく、強風に耐えられるかどうかも問題です。米国のハリケーンは、その強度を5段階評価しますが、築後40~50年経った窓は、1や2の弱いものでも、吹き飛んでしまうことがあるそうです。

窓の取替にかかる費用は、1戸当たり$6,000~20,000ですが、床から天井までガラス張りのビルは、2LDKで9万ドルくらいすることもあります。実は、私が住んでいるコンドは築40年のガラス張りで、もうすぐガラス窓を取り換える予定です。手すりの取替は、ラナイが4mだとすると、$4,000くらいです。

ホノルルには、手すりやラナイの点検に関する法律がありません。カリフォルニア州では、2015年にバルコニーが落ちて6人の方が亡くなる事故があり、法律が整備されました。フロリダのコンドの崩壊事件もありましたし、何らかのガイドラインを設けた方が良いかもしれません。

 

コンド購入時の注意ー積み立て金を確認することー

コンドを購入するときには、必ず積立金が50%あるかどうかを確認してください。積立金調査(reserve study)が定期的に行われているはずですので、直近のものを調べて下さい。50%に満たないからと言って買うなと言うことにはなりませんが、50%に達しているコンドに比べて、共益費が急激に上がるかもしれません。また、このブログで取り上げたような費用の高い修繕が既に終わっているか、いつ頃予定されているかも、確認してください。

大規模修繕があるときに、一時的な修繕負担金を徴収することがあります。その時にたまたま所有している人にとって、不公平だという考え方もありますが、修繕をする時に物件価値も上がるので、公平だとも言えます。共益費が高いと、物件の価値も下がります。特別徴収をすることによって、共益費の値上げを緩和すると、物件の価値も保つことができます。ただし、急に多額の支払いをすることができない人もいるでしょう。その場合は、コンドを担保にしてローンを借りることができますし、組合がローンを借りることもできます。

最悪なのは、私のコンドのように、築浅の時に十分に積み立ててなかったので、急に共益費が上がる場合です。私の場合、どうしてもダウンタウンに住みたかったのですが、ダウンタウンのコンドは、ほとんどの物件の共益費が高いので、しかたなく購入しました。積立金調査によると、窓の取替後、40年間共益費が上がらない予定です。場所がいいので、40年後は再開発の予定のようです。

新築コンドは、開発業者が共益費を設定しますが、全く足りなくて急に上がることもあります。新築で共益費が安いからと言って、飛びつかない方が良いかもしれません。

 

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今日は、築古コンドの大規模修繕と、その積立金について解説しました。またこの動画が良かったと思ったら、グッドボタンを押して頂ければ励みになります。このチャンネルではハワイの物件情報や、アメリカ・ハワイの不動産マーケットの情報をお届けしています。アメリカの不動産に興味のある方、ハワイで不動産を持ちたい方は是非チャンネル登録をお願いします。

建物は何百年も持つが、中身はそうはいかない
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