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2021年ハワイの事業用不動産回復:ハワイビジネスマガジン

 今日は、コリアーズ・ハワイのレポートをご紹介します。2021年のハワイ事業用不動産市場の取引は、リゾートとゴルフ場の売買がそれぞれ$10億近くあり、大きく回復しました。2021年の事業用不動産取引の総額は$31.5億で、パンデミック前のレベルを更新しました。2020年と比べると164%増、19年と比べても17.36%増です。売買総数は353件で、このレベルに達したのは16年ぶりです。取引数の68%が地元の投資家による購入です。

投資サイクル

 コリアーズ・ハワイのマイク・ハマス氏によると、ハワイの事業用不動産は2015~18年がブームでした。2018年の売買総額は$52億で、過去最高でした。$1億以上の売買が12件もあり、それだけで総額$39億に達しました。主な取引には、$11億のグランド・ワイレア・リゾート、$2.88億のアンダーズ・マウイ・リゾート、$2.15億のモダン・ホノルルがあります。

ハワイ事業用不動産投資売買総額と件数(コリアーズ・ハワイ・リサーチ&コンサルティング)

 しかし、2019年には約半分の$26億に減少。これは、大きな売出物件がほとんど買われてしまったことが原因だと思われます。2020年は、パンデミックでさらに半減し、200少々の取引で、総額は$11.9億まで落ち込みました。

投資しているのは誰?

 20年に続いて、21年も地元の投資家が半分以上の占め、$15.6億でした。ハワイ以外の米国投資家は$15.5億、海外投資家はわずか$4,330万に過ぎませんでした。ハマス氏によると、この傾向はパンデミック以前から始まっており、ハワイに良い投資物件がないことを物語っているとのこと。機関投資家が購入するような大きな物件が売りに出ないということのようです。

 メインランドの投資家は主にカリフォルニア、ニューヨーク、テキサス州から、海外投資家は主に日本、オーストラリア、シンガポール、ドイツ、中国です。観光客が多く来る国ほど、投資する人も多いそうです。日本人観光客が早く戻ることを期待します。

投資売買総額と購入者の所在地履歴(コリアーズ・ハワイ・リサーチ&コンサルティング)

更地売買が人気

 2021年は、68の更地が$9.24億で売買され、全体の29%を占めています。その中でも人気があるのが工業用地で、$3.18億。これは世界的なトレンドでしょう。

 2021年の主な取引は、コストコがジュピター・ホールディングスから$1.3億で購入したホオピリ・ビジネス・パーク。そのジュピター・ホールディングスは、HRTリアルティーから、ロイヤルクニアの123エーカー(50ヘクタール)の工業用地を$6,350万で購入しました。アマゾンは、カポレイ・ハーバーサイド工業用地を約$7,900万で購入しましたが、サンド・アイランドにも既に14.5エーカーの土地を持っています。

ハマス氏によると、ハワイにはアマゾンが使えるような流通センターがないので、自社で購入して建築しなければならないとのこと。ウォルマートやターゲットなども追随するかもしれないということでした。

集合住宅とオフィス

 集合住宅の売買総額は$3.45億。投資家のほとんどが地元です。日本同様、小規模投資家は、アパート経営を好みますし、州外投資家は自主管理ができませんので、労働集約性の高いアパート経営は地元の投資家に向いています。その多くが$200~500万の規模で、特に住宅難のハワイでは最も安定した投資でもあります。

 オフィスの売買総額は$3.43でしたが、ブラックサンド・キャピタルによる$2.7億のワイキキ・ギャレリア・タワー購入が、その大部分を占めています。ここ数年、オフィス購入は減少しており、購入者が自社で占有する場合や、ホテルやコンドにコンバージョンすることが多いです。在宅勤務の増加で、オフィス市場の将来は不透明です。

2022年の見通し

 2021年最大の取引は、ブラックサンド・キャピタルによる$4.3億のロイヤル・ラハイナ・リゾートの購入でした。リゾートやゴルフ場の売買は13件で、総額は$8.77億。2020年の$1,300万を大幅に上回りました。

 観光は回復しつつあり、2021年の平均一泊料金は$329で、2019年よりも16.9%上昇。稼働率は57.6%で、一室当たりの一晩の平均売上は$189でした。これは、どちらも2020年よりは高いですが、19年には及びません。州のビジネス経済開発観光局によると、観光客は、2024年にはパンデミック以前のレベルである年間1千万人まで回復すると予想されています。

 金利は上昇していますが、歴史的にはまだ低く、コリアーズでは、2022年の売買総額は$35億程度になると予想しています。楽観的予想の最も大きな理由はパンデミックの終息とそれに伴う観光業の回復です。ロシアによるウクライナ侵攻は、悪影響もあり得ますが、有形資産である不動産はそれほど影響を受けないかもしれません。

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2021年ハワイの事業用不動産回復(ハワイ・ビジネス・マガジン)
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