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「円は弱いが日本人投資家はまだハワイ不動産に強気」:この嘘ホント?

 日本から観光客が戻り、この秋はさらに増えます。その中には、パラダイスを一切れ買いたい人もいる?

 外国人の住宅購入者で最も多いのは日本人でしたが、この2年の間に、その購買力は激減しました。ハワイの住宅価格が上がっただけでなく、円がドルに対して急降下したのです。先週、円は1998年以来の最安値、米1ドル139円まで下がりました。米ドルは、この1年で26%上昇です。その他の世界通貨もドルに対して値下がりし、1ユーロはほぼ$1です。

 しかし、クシュマン&ウェイクフィールド・チェイニーブルックスの不動産アドバイザー、レイ・ツチヤマ氏によると、ハワイの不動産が安全な投資だと考えている日本人投資家はまだいるとのこと。

 日本からの観光客はだんだんと回復しつつあります。5月は7,167人でしたが、コロナ前の2019年5月は113,226人でした。ANAは、7月1日、初めてスーパージャンボ・エアバスA380が羽田から到着し、JTBハワイによるとこの秋から観光客は増えるとのこと。ツチヤマ氏によると、そのころには日本人も住宅を購入するようになるかもしれないとのことです。

 「この夏から秋にかけて、どのような投資家が来るかにもよります。」

 現在は、中流のホテルよりも高級ホテルの空き部屋が多いので、高級物件がよく売れるかもしれない、とツチヤマ氏は述べています。

 「別荘やカカアコの高級コンドが、この秋急に売れ始めるかもしれませんが、少額の投資家が安い投資用コンドを買うことはあまりないでしょう。」

外国人購入物件の4分の3

 外国人によるハワイの不動産物件購入で最も多いのが日本人で、そのほとんどがオアフ島です。タイトル・ギャランティー・ハワイのデータによると、2018年、日本人はオアフで581戸の戸建てやコンドを購入し、金額にして$7億でした。その年の外国人による購入の4分の3以上です。

 日本人バイヤーによる購入は、コロナでハワイに旅行できなくなる前の2019年から、すでに減っていました。2020年にオアフ島で日本人が購入した戸建てとコンドは114件で、額にして$9,400万です。去年は増えて、日本人による購入は211物件、$2.396億でした。最近の統計によると、今年の第一四半期は24件で$2,160万。これは、2019年の第一四半期の購入の4分の1以下です。

 ツチヤマ氏は、円が安くても気にしないでハワイの物件を買う日本人はいると述べています。

 「これはヘッジです。日本の市場がだめになっても、ドル建ての資産が外国にあれば、将来より多くの円を日本に持って帰ることができます。」

 また円が高くなっても、ハワイの住宅価格が上がり続ければ問題ありません。

 「安い円で購入する日本人投資家も、この二つのシナリオなら完璧です。」

さてほんとかいな

 まずこの記事の題に疑問。多くの日本人投資家が強気であるわけではなく、ツチヤマ氏が述べているのは、そういう人もまだいるというだけの話です。いつの世にも、そういう人はいるでしょう。彼は、秋口には日本人も住宅を購入するようになるかもしれないと言っているだけです。

 高級ホテルに空き部屋が多いから高級コンドが売れるようになるかもしれない、という彼の論理はよくわかりません。大体、高級物件ほど投資としては成り立ちません。AirB&Bが法律で禁止された今、キャッシュフローが見込めないからです。長期で貸しても、値段に似合った家賃で借りてくれる人を探すのは困難です。逆に、高級物件を購入する人は値段のことなど気にしない、つまり投資として成り立つかどうかなど気にしないと言えるかもしれません。

 外国での投資がヘッジになるというのは分かります。よく日本の方が、外国資産は為替リスクがあると言いますが、これは逆です。リスクを減らすのは投資の分散であり、そのためには全部日本円で投資するのではなく、ドル資産も持つべきです。

Don’t put all your eggs in one basket.

 あなたのすべての卵を一つのバスケットに入れるなということわざですが、そのバスケットを落としでもすれば、卵はすべて割れてしまいます。全てを失う危険を冒さないようにしなさいという意味で、分散投資を勧めるときなどに使われます。つまり、すべての卵を日本列島に置いておかない方が良いのです。

 とは言え、ドルはこの1年で26%も既に上がっています。これからもドルが上がり続ける可能性はありますので、ドル資産を持つことはよいかもしれませんが、既に26%も上がってから投資するのは、「完璧」ではないでしょう。去年買っていれば、完璧でした。

 ツチヤマ氏の2つ目の「完璧なシナリオ」は、ハワイの物件が上がり続けるというものです。コンドはこの2カ月記録を更新していますし、戸建てを買えない人がしかたなくコンドを買うと思いますので、まだ上がるかもしれませんが、戸建ては高止まりの感があります。これも、戸建てに関してはこの2年間で既に4割ほど上がっていますから、値上がりは小休止すると考えたほうがいいでしょう。

 値上がりと円の下落を計算すると、2年前に1億円で買えた物件が、今なら1.75億にもなっているということです。いくらドル資産を持つべきだとは言え、今なら、暴落した株でも買った方がいいのでは?

Real estate investment trust(不動産投資信託)

 私も、不動産の直接所有ではありませんが、リートの買い上げでできたお金を株に入れたところです。円が元に戻り、物件価格がまた上がり始めるまで時間がかかって、「不完璧なシナリオ」になる可能性もあります。

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円は弱いが日本人投資家はまだハワイ不動産に強気:その嘘ホント?
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