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ADU(付属居住ユニット)で簡単に解決すると思ったら

ADU建築は実際には簡単ではなく、建ったのはごくわずか。規制を緩めたら数は増えるのか。

 まず、言葉の説明から始めましょう。以下は、ADUと、それに似た言葉の説明です。

Accessory dwelling unit (additional dwelling unit) 母屋とつながっていようがいまいが、台所、ベッドルーム、バスルームがあり、オーナーの親族以外にも貸すことができる住居。

オハナ・ユニット(ʻOhana unit) オハナはハワイ語で家族。家族でなければ住めないが、1992年9月10日以前に建築許可が下りたものに関しては、この要件はない。オアフ島のみがオハナ・ユニットとADUを区別しており、このブログではオアフ島のみ取り扱う。敷地内に最低2台分の駐車スペースが必要で、築面積の制限なし。

ゲストハウス 500平方フィート(46平米)未満で、通常台所がない。オアフ、カウアイ、ハワイ島では規制あり。

 これを見てもお分かりのように、賃貸できるのはADUだけです。オハナもゲストハウスも、母屋とひっくるめて賃貸することはできますが、オハナだけ、あるいはゲストハウスだけ賃貸することはできません。ADUは、母屋とADU両方を別々に同時に貸すことはできませんので、どちらかを住居、あるいは別荘として使い、もう片方を貸すことになります。

 ADUは、住宅難を解決するために、カリフォルニア、オレゴン、バーモント州などでもその規制が緩和されました。以前のブログにも書きましたが、この規制緩和を狙って、プレハブやモジュラーハウスのADUを作る会社も増えてきました。工場で作って敷地内に置くだけですので、簡単に設置できます。

【アメリカの住宅不足】新工法のモジュラーハウスやプレハブ住宅で解決できるか
元サイトで動画を視聴: YouTube.

 ハワイでも、慢性的住宅難解決のため、ADU規制が緩和されましたが、オアフ島はかなり遅く、2015年のことでした。米国の住宅街を見ると、日本のようにごちゃごちゃしていませんが、それはゾーニング規制があり、1戸建てるのに必要な最低敷地面積が多くの市町村で決められているからです。

 私の松山の実家は、16戸の小規模な古い団地ですが、敷地が60坪あまりありますので、中には半分に区切って2戸に建て替えたところもあります。日本では当たり前のように行われていることですが、アメリカ人は、町並みが崩れ、物件価値が下がるという理由で、嫌がるのです。

 しかし、ADUは、5000平方フィート(465平米)未満の敷地であれば最大400平方フィート(37平米)の1LDK、それ以上であれば800平方フィート(74平米)の2LDKまでしか建てられません。母屋につながっていればただの増築です。つながっていない場合でも、ガレージとそう変わりない大きさですので、それほど街並みを壊すことはないのです。

 ホノルル・ボード・オブ・リアルターズの統計によると、89%のバイヤーがADUの有無は大切であると答え、91%がADUは物件価値を上げると答えています。物件価値を下げると答えたのは3%にすぎません。この3%は、たぶん家賃収入などいらないお金持ちでしょう。

 とは言え、1軒に1戸しか建てられませんので、大量生産をすることはできず、そのほかにもいろいろな問題で、実際に建てられた数は予想を大幅に下回っています。

 オアフ島では、2015年の法改正で、2万戸のADUが建築されるだろうと予想されましたが、今のところ、建築許可が1,322戸で、実際に建てられたのは852戸にすぎません。規制緩和が他島と比べて遅かったせいもあり、人口の多い4島、多い順に並べるとオアフ島、ハワイ島、マウイ島、カウアイ島の中で、最も少ないのです。州全体で7,737戸ですが、これはハワイの住宅の約1%に過ぎません。オアフ島には37万戸の住宅がありますので、852戸は0.2%で、ほとんど住宅難解決にはなってないのです。

 大量生産できないと書きましたが、ADU付きの団地を造ればよいではないかと考える方もいらっしゃるでしょう。需要はあるはずです。問題は、下水のキャパで、ADU付きの物件は、2戸とみなされるのです。100戸のADU付きの団地を開発するためには、200戸分の下水インフラが必要になります。エバ地域のホオピリやマカハのコテッジス・アット・マウナオルなど、少数のADU付き住宅がある団地もありますが、ごくわずかです。

 ウィンドワード地域は、2018年の$3.75億の下水インフラ拡大工事が完成するまで、ADU建築許可は下りませんでした。ホノルル建築計画許可局のディーン・ウチダ局長は、環境サービス局と協力して、どの地域に下水の余裕があるか調べて、ADU建築を促そうとしているそうです。

 彼は、利益相反があるにもかかわらず短期バケーションレンタル法改正に関わったとの疑いがあり、そのせいかどうかは分かりませんが、辞職することを決めています。2015年の法改正からもう7年も経っているのに、今頃そんなことを調べているのか、と言いたくなるのは、私だけでしょうか。

 そのほかにも、面している道路が幅20フィート(6m)以上なければならない、高さ13.5フィート(4.11m)までの車両(消防車)が通れなければならないなどの規制もあり、誰でもどこにでも建てられるわけではありません。駐車場も、現在工事中の鉄道の駅付近でない限り、敷地内に1台分必要です。

建築費の問題

 カウアイ郡住宅局のアダム・ロヴァーシ局長によると、建築費は平方フィート当たり最低$330ですので、800平方フィートのADUを建てるには$264,000かかり、その費用を回収するには10年かかるという計算になります。建築以外の費用もあるでしょう。オアフもカウアイも、フィーの免除など、数千ドルのインセンティブは出していますが、総費用に比べると、微々たるものです。

マスター・プラン・コミュニティーの影響

 米国には、マスター・プラン・コミュニティーと呼ばれる団地が多く、コンドのように共益費を取って、団地のアメニティーを管理しています。このような団地は、通常の住宅地域以上に住宅が整然と並んでおり、マイホームのオーナーが増築や改築をすることに、非常に神経をとがらせます。このような組合は、法律より甘い規則を作ることは、法律違反になりますのでできませんが、法律より厳しい規則を作ることはよくあります。

 そういった組合の少ないホノルル市内、パールシティー、ワイパフなどにはADUがありますが、ほとんどがそのような団地でできているミリラニなどには、非常に少ないのです。ミリラニ・タウン組合には15,800戸の住宅やタウンハウスがありますが、ADUは全面的に禁止されています。3,000戸の住宅があるヴィレッジ・オブ・カポレイも同じです。

 ADUは、住宅難の解決にある程度貢献してはいるものの、期待したほどの結果は見られません。ハワイ住宅金融開発機関による2019年の調査によると、ハワイ州は、2020年からの5年間に5万戸の住宅を建てなければならないという調査結果を発表しています。そのうちの19,000戸が、所得中央値の60%以下の世帯のものでなければならないという調査結果です。ホノルルの場合、60%と言うのは、4人家族だと年間$72,480です。

 ADUは小規模な住宅ですので、低所得者向きですが、今まで通算で7,737戸しか建てられていませんので、特に852戸しか建てられていないオアフ島では、全く足りません。全米では、2000年に売りに出された戸建ての1.1%に当たる約9,000戸がADU付きの住宅でした。2019年には7万戸に増えており、全体に占める割合は4.2%です。ハワイはまだ1%とのことですので、20年遅れているということになります。より大幅な規制緩和とインフラ拡充が必要です。

ADU(付属居住ユニット)で簡単に解決すると思ったら
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