オアフ島バケーションレンタル法に関しては、今までにいくつものブログを書いてきました。今までの経緯をすべてここで説明することはできませんが、背景をご存じない方は、今年4月のブログをお読みください。
ごく簡単に説明しますと、リゾート地域外の賃貸期間は、今まで最低30日でした。しかし、30日でもバケーションレンタルに使う人が多いので、90日にして、観光客が住宅街に泊らないようにすると言うものです。
この法律が市議会で決議されて決まったかと思ったのですが、Hawaii Legal Short-Term Rental Alliance(ハワイ合法短期賃貸連盟)が連邦裁判所に訴えました。その判決はまだ出ていません。しかし、10月24日から施行される予定でしたので、ハワイ合法短期賃貸連盟(HILSTRA)が、判決が出るまで施行を止めるよう、裁判所に要請していたのです。
デリック・ワトソン連邦地裁判事は、その要請を受け入れ、新法の施行を止める暫定的差し止め命令を出したばかりでなく、市に勝ち目がないと言う意図の発言をしました。ワトソン判事によると、ホノルル市民でも家を売買した時など、短期の賃貸が必要になることがあります。隣島から医療目的で来る人などもおり、30日の賃貸をするのは観光客だけではありません。そもそも、ゾーニング(都市計画)とは、そこで何をするかを決めるもので、期間は関係ないと言うのです。
これを受けて、ブランジアーディ市長は、すんなり敗訴を認めるか、最後まで戦うか、注目されていたのですが、10月20日、徹底抗戦することを発表しました。また、30日未満のレンタルは以前から違法ですが、その取締は厳しく施行し、予定通り高い罰金を科すと発表したのです。
報道を見ると、市長は判事の命令に従うつもりがない、と勘違いするかもしれませんが、そういうことではありません。新法では、罰金が10月24日から1日1万ドルに上がることになっていますが、これは差し止命令の対象ではありません。しかし、30日以上のレンタルは、今まで通り続けることができるようになったわけです。
HILSTRAのグレゴリー・クーグル弁護士は、現在30日以上のバケーションレンタルをしている物件に関してはそれを認めるが、それ以外は認めないようにすると言う示談案を提示しましたが、市長は受け入れませんでした。
市側は、リゾート地域外の14,000戸もの住宅が、30日未満のレンタルをしていると述べています。それに比べて、30日以上のレンタル、つまり今回の法律で違法になるバケーションレンタルをしている住宅は1,000戸ほどです。ですから違法レンタルを取り締まるだけで十分効果があり、1,000戸に関しては新法令の適用から除外してほしいと言うのがHILSTRAの意見です。
違法短期バケーションレンタル物件の正確な数は分かりません。実際に14,000戸もあるかどうかは疑問ですが、市側としては、多めに見積もって、この法律の必要性を説いていると思われます。HILSTRAの示談案は、それを裏手に取った作戦で、30日以内の違法レンタル物件を取り締まるだけで十分効果があると言う論拠したが、市はそれを受け入れなかったのです。
と言うわけで、リゾート地域外の30日以上のバケーションレンタルは、少なくとも判決が出るまでは続くことになりそうです。ハワイの連邦地裁には革新派の判事が多いのでちょっと意外でしたが、ワトソン判事によると、市に勝ち目はなさそうです。
しかし、市は、負けても控訴する可能性があります。控訴した場合、判事は革新派である可能性が高く、市に味方にするかもしれません。もし、最高裁まで控訴されるようなことになれば、現在9人の判事の中で6人が保守派ですので、市にとって不利ではないかと思います。リゾート地域外の物件を買ってバケーションレンタルをしたい方にとっては、どちらにかけるか悩むところです。
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