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IREMグローバル・サミット、トロントで開催:置き去りにされる日本

 IREM(全米不動産管理協会)2020年度会長のシェリル・グレイさんは、IREM史上初の米国人以外の会長で、カナダのトロントの方です。ITに詳しく、2019年、ナッシュビルで開かれた不動産テクのコンフェレンスにゲストスピーカーとして招かれたほどです。

 同年、日本で開催されたIREMジャパンの総会にも次期会長として来日してくれました。翌年、IREM史上はじめてアメリカ国外であるカナダのトロントでグローバル・サミットが開かれる予定でしたので、その宣伝も来日の目的だったと思います。

 ところが、来日中、がんの闘病生活を続けていた娘さんの容態が急変し、予定を切り上げて帰国し、その後まもなくお亡くなりになりました。翌年、コロナの影響でトロントのサミットはなくなり、今年、それがようやく実現した次第です。シェリルさんが会長だったのはもう3年前ですので、今回のサミットで彼女が前面に出ることはほとんどありませんでしたが、感慨深い会になったのではないかとお察しします。

 史上初は、サミット国外開催だけではありません。IREMには3人の役員がいますが、今年は、IREM史上初めて、3人とも女性です。会長はサンディエゴのレネー・サヴェッジさん、次期会長はフィーニックスのリビー・エクリさん、会計はニューヨークのドーン・カーペンターさんです。会計は、翌年に次期会長になりますが、次期会計もミンディー・グロンベックさんですので、予定通りに行けば、女性会長が少なくとも4年続くことになります。

レネー・サヴェッジ会長
リビー・アクリ次期会長
ドーン・カーペンター会計
ミンディー・グロンベック次期会計

 ちなみに日本は24年間で二人だったと記憶していますが、遅れているのは男女平等だけではありません。日本から27名参加しましたが、皆さん、物価高に驚いておられました。ハワイの物価に慣れている私にとっては、ちょっと安い感じがしましたが、日本に比べると円安で何もかも高い。円安は反転するとは限りません。日本経済は、世界から取り残されている感があります。

 物価高の一つは、IREMの会費です。日本は、円安を理由に、世界で唯一、去年値上げを遅らせてもらったのですが、2年連続は難しいようです。

 最近、ハワイのアフォーダブル住宅に関するブログを書きましたが、その中で、世帯収入の中央値に触れました。ハワイは、物価が高くて所得が低いことで有名な州ですが、それでも、単身世帯の収入の中央値は$91,500で、$1.00=150円で換算すると13,725,000円になります。これは中央値ですので、平均はもっと高いと思われます。日本は、2021年の統計によると、平均で4,276,512円ですので、ハワイの3割に過ぎないと言うことになります。

 多分、日本の所得が過去30年上がっておらず、日本が取り残されていると言うことは、日本人もアメリカ人もまだ実感できていないのではないかと言う気がします。島国の日本は、その危機感を感じる機会がありませんし、アメリカ人も、昔の日本のイメージが強くて、なぜこの程度の会費が払えないのか、と不思議に思っているのかもしれません。日本の皆さん、のんびり構えている場合じゃありませんよ。

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