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3D工法がついに従来の工法より安くなった:$99,000で家が建つ

 米国の平均的な家の建築費は約$40万です。基礎が$45,000、壁が$110,000、屋根が$45,000、台所とバスルームが$85,000、窓とドアが$15,000、仕上げが$25,000、機械、電機、配管が$70,000です。最もお金のかかる壁を3Dプリンターで安くできれば、コスト削減に役立ちます。

 従来の壁にはいくつもの種類があります。平均的なものは、フレーム(平方フィート当たり$21)、乾式壁($3)、外壁($1)、防湿層($3)、羽目板($5)、トリム($2)でできており、全部で$35になります。これは、建築基準法で最低基準とされるR-13のコストで、風荷重や耐火性はなく、白アリとカビに弱く、浸水すると使えなくなります。

 現在、住宅の3Dプリンティングで最先端のアイコン社は、テキサスのオースチンに本社があります。アイコンは、R-22、時速200マイル(風速89メートル)の風荷重、2時間の耐火等級、防シロアリ、耐カビ性、洪水に強い壁を目指してきました。

 アイコンが2018年に初めて居住可能な3Dプリント住居を建てたときの平方フィートあたりの壁のコストは$315でした。2022年に初めて3Dプリント住宅の団地をオースチンの郊外で建て始めたときは、$90でした。1年後にこのプロジェクトが終わる頃には、$45まで下げることができ、しかも従来のものより数段高品質の商品をお届けすることができるようになったのです。

 3Dプリンティングの一つの欠点は、CO2の排出量が従来の工法より高いことでした。コンクリートを使うためで、コンクリートが世界のCO2排出に占める割合は全体の9%です。

 3D工法で使われるコンクリートは、従来のものに比べて乾くのが早い特別なものです。アイコンは、それを改善することによって42%削減することに成功し、従来の工法より2~6%下げることができました。2~6%というのは微々たるものだと思うかもしれませんが、住宅のライフサイクル全体を見ると、3Dのほうが長持ちしますので、より高い削減率になります。

 

 今まで、どこの会社の3Dプリンターも、十数メートルくらいの間隔で平行なレールを敷き、それをまたぐようにプリンターヘッドを設置します。ヘッドがレールの間を行き来して壁を積み上げて行くのですが、このような機械は、設置するのに時間がかかります。

 それを解決するために新しく開発されたのがフィーニックスと呼ばれるロボットです。全長23メートルのアーム(腕)が、最大24,000平方フィート(2,230平米)、高さ8メートルの建物を、基礎と屋根も含めて建てることができます。

 トラック1台で輸送でき、設置にかかる時間は3時間、一人が同時に複数のフィーニックスを操縦できます。また、今まで人力で設置していた鉄筋も全自動でできるようになり、平方フィート当たり$25を達成しました。

 アームが長いと、風などの影響を受けやすく、正確にプリントするのが困難です。そのため、プリンターヘッドに複数のカメラを設置し、AIで正確にプリントできていることを確認しながら、1ミリ以下の誤差でプリントすることができます。

 米国の戸建ての設計料は平均$5,000だそうです。もちろん、設計士を雇ってオーダーメイドの家を建ててもらうのに、設計費が$5,000しかかからないということはありません。これは、開発業者が似たような間取りの住宅を大量生産して、1戸当たりの設計費を削減しているのです。

 アイコンは、耐火性や風荷重など、地域のニーズに合わせたデザインを百種類以上用意しており、すべて無料で、これからも増やしていく予定です。また、百万ドルの賞金を出して安価に建てられる家の設計のコンテストを催し、その中から六つのデザインを採用することにしました。それらの多くはワンルームや1LDKの小さなものですが、100平米程度の2LDKもあり、すべて$99,000以下で建てることができます。

 この会社は、ホームレス問題の解決が設立の大きな目的で、創業メンバーの一人は、もともとホームレス・シェルターで働いていました。商業化されるまでに実験的に作った住宅は、そのほとんどがシェルターで、米国、いや世界の住宅難の緩和に貢献することが会社の使命です。フィーニックスを1台マウイ島に持って来られないものでしょうかね。将来の発展に期待します。

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3D工法がついに従来の工法より安くなった:$99,000で家が建つ
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