今日は、カナダの投資管理会社であるコリアーズ・インターナショナルの2021年第一四半期工業系不動産報告書から、家賃、吸収(埋まった空き面積)、売買、経済指標について解説します。
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【コロナ禍で過去最高の家賃を記録】アメリカの工業系不動産市場レポート
米国の工業系不動産市場は、コロナ禍で過去最高の家賃を記録
2020年第4四半期の米国GDPは年率で4.3%増、2021年第1四半期は6.4%増で、今年は中国のGDP成長率を上回るかもしれないと予想されています。3月は、91.6万の雇用が生まれ、失業率は6%に低下。2020年2月の失業率に減るまで後2.5%となりました。3月の失業率は、30州で変わらず、20州で改善されています。米国の主な港のコンテナの量は9.8%、鉄道は4.1%、前年と比べて増えています。
工業系不動産市場は、需要が増え、供給の多くがAクラスのものであることも重なって、倉庫流通センターの提示家賃は平米当たり$66.17となり、前年比5%増で過去最高を記録しました。フレックス・スペースとは倉庫兼オフィスあるいは店舗のことです。いいことだらけですが、一つ心配なのが、技術のある工業系の労働力不足です。
第1四半期の新規供給は680万平米で、過去2番目。2019年の総新規供給の84%に当たります。3月末の時点で3304万平米が建築中ですので、この調子で行くと、過去最大だった2020年の総新規供給3692万平米を上回ると思われます。第1四半期に完成した1,000,000平方フィート(約9.3万平米)以上の物件は12あり、そのうち3月末の時点でまだ全部空室なのは、サウス・キャロライナ州の約12万平米の物件のみです。
コロナ禍で発展した米国の工業系不動産市場は?
発展しているのはやはり南部で、第1四半期には242万平米の新規供給があり、1279万平米が建築中です。全国の空室率は前四半期と比べて0.34%減り、10の市場で2%以下になっています。デンバー、デトロイト、マイアミ、ストックトン(カリフォルニア州)、ナッシュヴィルなど、16の市場で去年の倍以上の新規供給がありましたが、吸収の心配はありません。
第1四半期の吸収面積は前年比66.7%増で、過去最高でした。第1四半期の正味吸収は1019万平米で、過去10年間の平均のほぼ2倍です。向こう1年間、eコマースのユーザーは世界で4億人増えると予想されており、この需要は今年いっぱい続くでしょう。
上記のトップ5を含め、26の市場で1,000,000平方フィート(93万平米)以上の吸収があり、負だったのは、ミルウォーキー、ハンツヴィル(アラバマ州)、ノーフォーク(バージニア州)などの5市場のみです。吸収が在庫に占める割合が最も高い、つまり成長が最も早い市場は、ソルトレークシティー、ストックトン、コロンバス(オハイオ州)、サヴァンナ(ジョージア州)です。
小売売上総額は前年比で14.3%増えました。第1四半期の工業系不動産取引総額は$196億で、去年の同時期に比べ41%も減っていますが、価格は9.1%上昇し、平米当たり$1,082.46です。住宅同様、売り物件が少ないということでしょう。取引の8割以上は倉庫・流通センターです。
ホノルル市場の工業系不動産の特徴
ホノルル市場で目立つことは、何と言っても家賃が高いということです。ホノルルより高い市場と言うと、サンフランシスコ半島ですが、サンフランシスコ湾地域全体では$128.04ですので、少し離れた場所を安くリースすることは可能です。しかし、ホノルルはオアフ島全体がホノルル市で、安い隣島でリースするわけにはいきません。
もう一つは、工場やフレックス・スペースがほとんどなく、統計にないということです。昔はパイナップルの缶詰工場などがありましたが、ハワイで作られるものはほとんどなく、全て輸入に頼っているということです。それだけ、倉庫・流通スペースがハワイには重要だということで、それは空室率にも反映されています。
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今日は、カナダの投資管理会社であるコリアーズ・インターナショナルの2021年第一四半期工業系不動産報告書から、家賃、吸収、売買、経済指標について解説しました。このチャンネルではハワイでのオープンハウスの様子や、アメリカ・ハワイの不動産マーケットの情報をお届けしています。アメリカの不動産に興味のある方、ハワイで不動産を持ちたい方は是非チャンネル登録をお願いします。