停滞するホノルルの家賃
先月のブログで、11月の1LDKの家賃が前年比で10%も下がったが、それはバケーション短期賃貸の規制が始まったので、多くの物件が長期賃貸に切り替えたからであろうという記事を書きました。それは多分間違いないと思うのですが、それ以前から、ホノルルの家賃は停滞気味です。それを物語る一つの指標が、米軍の住宅手当で、過去4年間で、全国平均では2.8%の上昇ですが、ハワイでは3%下落しています。
2015年から2019年までのインフレは8.5%ですので、それを考慮すると11%以上の下落です。特に下がっているのが、アラモアナ、カカアコ、エヴァ、ハワイカイ、ワイキキだそうです。新築高級コンドがひしめくアラモアナ・カカアコ地域は、家賃の中央値が$3,000から$2,750に、高級住宅街のカハラでは$2,300が$2,250に下落、小さな物件の多いワイキキは$2,000でフラットです。
逆に上がっているのは、ヌウアヌ、カイルア、カネオヘ、ミリラニなどで、最高5%ほどの上昇です。ヌウアヌはダウンタウンのすぐ山側で、便利な場所です。カイルアは、バケーション短期賃貸の規制対象となる物件が多く、その多くが長期賃貸に切り替わって家賃が下落するのではないかと思われますが、このレポートにはまだそれが反映されてないのかもしれません。
下落の原因は?
いずれにしろ、2012年から2014年にかけて、毎年5%上昇していたこと、2015年は10%近く上昇したことを考えると、住民にとっては嬉しい小休止です。バケーション短期賃貸規制の影響で、特に1‐2LDKの家賃はさらに下がるでしょう。
下落の原因は何でしょうか。最初に頭に浮かぶのは、最も下落率の大きいアラモアナ・カカアコ地域のコンド開発です。観光客の皆さんはあまり行かない地域ですが、オアフ島西部も市内から遠くて土地が安いので、開発が進んでいます。また案外知られていないのが、米軍基地に多くの住宅が建てられて、基地内に住む軍人が増えていることです。オアフ島の2018年の新築戸数は1,448、19年は881、20年の予想は671だそうです。
私自身の物件は、ダウンタウンにあるせいもあり、毎年値上げをしていますが、フローリングを取り換えたり、冷蔵庫や洗濯機などを新しくしたりなどのサービスはしています。ちなみに、米国では家主が冷蔵庫と洗濯機・乾燥機を提供します。
ホノルル市の予測
とは言え、ハワイの住宅難はまだまだ続いています。全国的に見れば、家賃が収入に占める割合が3割でも生活を圧迫すると言われていますが、ハワイでは半分以上ということも珍しくありません。
ホノルル市は、2028年までにホノルルの住宅難はほぼ解決するという予想を発表しましたが、それを信じている人はあまりいないようです。ホノルル市の人口は、2020年の1,003,000人が、20年間に1,086,000人にしか増えないと予想されており、既に下りている建築許可の数からして、8年もすれば住宅難は解決されるという予想なのだそうです。
これにはいくつかの異論があります。一つは、市は現在の住宅の不足数を9,000戸と見なしていますが、これは少なすぎるという見方です。もう一つは、住宅難が緩和されてくると、開発は減るということです。現在許可が下りている物件がすべて建つわけではありません。また、ハワイの場合、新築物件の中には、別荘として使われるものもあります。ハワイはホームレスも多いし、家賃が安定することは島民にとって嬉しいことですが、パラダイスに住む代価は、そう簡単には下がらないでしょう。