今月も、ホノルル・ボード・オブ・リアルターのレポートを解説します。
ホノルルの「今」を統計から読み取っていきます。
会長、ダリル・マチャ氏のコメント
「オアフの住宅市場の売買は正常化が続いており、通常減速する第四四半期も在庫が増えていることを歓迎します。今年は在庫がかなり増えており、去年の同時期に比べて、戸建ては28%、コンドは14%増えています。しかし、戸建ての半分以上が$800,000、コンドの半分近くが$475,000以上ですので、低価格帯の在庫がもっと必要です。しかし、選択肢が増えたこと、低金利が続いていること、経済が安定していることなどを考えると、住宅購入には適した時期です。」(ホノルル・ボード・オブ・リアルターズ会長、ダリル・マチャ)
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マチャ氏は立場上、自分の業界の得にならないことは言えません。私の解釈を交えながら、彼の言葉を言い換えてみましょう。マチャ氏が何でもポジティブな書き方をしますので、ちょっと修正してみます。
「オアフの住宅市場の売買は今まで供給が足りませんでしたが、需給のバランスが取れつつあり、通常減速する第四四半期も在庫が増えていることは、だんだんと買い手市場に傾きかけているということです。今年は在庫がかなり増えており、去年の同時期に比べて、戸建ては28%、コンドは14%増えています。しかし、戸建ての半分以上が$800,000、コンドの半分近くが$475,000以上ですので、低価格帯の在庫がもっと必要ですが、お手頃の値段の物件はすぐに売れますので、大きな在庫の増加は望めないでしょう。しかし、選択肢が増えたこと、金利は上昇していますが、昔に比べるとまだまだ低く、待てば待つほど上がる可能性もあること、不安材料があるものの経済が安定していることなどを考えると、住宅購入には適した時期です。」(ホノルル・ボード・オブ・リアルターズ会長、ダリル・マチャ)
〜先月のレポートと比較〜
それでは先月のレポートと比較してみましょう。戸建ては10月に続いて中央値が落ちましたが、8月9月に最高値を更新したこと、また前年比よりは上昇していることを考えると、まだまだ堅調だと思います。10月はコンドがかなり値下がりしてこれからのトレンドが気になるところでしたが、かなり持ち直し、前年比でも上昇しました。成約までの日数も、10月に急激に上がり、戸建てが29日、コンドが25日でしたが、28日と22日に減りました。資本市場の金利の上昇がマイナス要因になっていますが、ホノルルの不動産市場自体は、堅調のようです。
〜デトロイトのレポートと比較〜
これをデトロイトの市場と比べてみましょうか。デトロイトはコンドが少ないせいか、戸建てとコンドを分けた統計は見つかりませんでしたが、まず中央値は何と$46,000。ホノルルだとコンドの駐車スペース1台分の値段です。成約までの日数は63日でホノルルの倍以上。これは、売れた物件の中央値ですので、売れなくて諦めた物件は含まれないことにご注意ください。これ以上在庫が増えないとして、在庫がなくなるまでの期間はハワイが3.1か月ですが、デトロイトは7-8か月だそうです。
売りに出した価格の何%で売れたか
それでは、今月は一つ新しいグラフをご紹介しましょう。売主が売りに出した価格の何%で実際に売れたかを価格帯ごとに示したグラフです。
「売りに出した価格の何%で売れたか」
価格帯ごとの戸建て
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価格帯ごとのコンド
戸建ての場合55-65万ドルが一番高く、去年の一時期は、100%を超えていました。例えば、60万ドルで売りに出しても、61万とか62万ドルのオファーが来るということです。今でもこういうことはそう珍しくはありません。それに比べて、190万ドル以上の物件はうんと低くなっています。高い物件はそう簡単には売れませんので、これは当然でしょう。
ところが、コンドのグラフを見てください。一番高いのは30-37.5万ドルで、25-30万ドル、また37.5-47.5万ドルも、ほぼ同じです。ところが、一番値切られるのは、一番安い価格帯である15万ドル以下です。これはいったいどうしたことでしょう。それは、15万ドル以下の物件はほぼ全部借地のコンドだからです。借地のリース期限が15年以下になると、売るのが非常に困難になります。ローンは通常30年か15年ですので、残余リース期間が15年を切ると、ローンをもらうことも困難になります。土地付きでない物件を購入するときは、リース残余期間や、現在だけでなく将来の地代に十分気を付けてください。通常、売値より1割くらい低く売れているということをお忘れなく。
理想的な売り方
最後に、売り方のコツですが、高く売ろうと思って売値を高くすると、誰も見に来てくれません。バイヤーもバイヤーのエージェントも、いつも新しく売りに出た物件を探しており、売りに出てから1ヶ月もたったような物件にはあまり注意を払いません。売れてないということは、良い物件ではないはずだと考えるからです。つまり、最初が肝心です。適切な値段で売りに出して、1週間以内にオファーが複数来るのが理想的です。