Youtubeで不動産コラムをながら聴き

ホノルル・ボード・オブ・リアルターズ2019年5月レポート

 

 今年から、このレポートは四半期ごとにすると言って、第一四半期のレポートを4月に書いたばかりですが、第二四半期は一カ月早くしました。何か市場に大きな変化が起きたわけではありません。今月20日にアーバンレックの東京支店会議室で、CCIM全米認定不動産投資顧問協会)のM4Make Much More Money、つまり「もっとお金を儲けよう」)と言う会があり、私がハワイ不動産市場について話すことになりましたので、その準備の一環として、レポートを訳すことにしたのです。

ホノルル・ボードオブリアルターズ19年5月レポート

 オアフ市場 アップデート 2019年5月レポート 

オアフ島の5月の不動産市場は?

それではいつものように、まず、ホノルル・ボード・オブ・リアルターズ会長ジェニーL.ブレイディ―さんのコメントからご紹介しましょう。

オアフの5月は、分譲マンションの売買が過熱し、価格中央値は低下

「オアフ島の不動産市場は、全国的な動向、特に大都市圏と似ており、価格中央値も取引件数も、緩やかにシフトし、在庫が増えています。30年ローンの固定金利は、20181月以降初めて4%を切り、夏に向かって、マイホーム購入の決断をする消費者が増えるかもしれません。」

さて、それではブレイディ―さんのコメントを検証してみましょう。何よりも気になるのが、コメントの見出しです。分譲マンションが過熱しているのに、価格中央値が下がるというのはいったいどういうことでしょうか。レポートの1ページを見てください。分譲マンションの取引は前年比で5.1%も増えていますが、中央値は2.9%下がっています。ブレイディ―さんは、このことを言っているのだと思いますが、はたしてどうでしょう。

市場の変化を見るには、数値を比べるより、グラフを見た方が分かりやすいことが多いと思います。それでは3ページを見てください。確かに、赤線で表されているマンションの売買戸数は2月から順調に上がり続けているように見えます。しかし、1年前と比べてみてください1年前にも全く同じことが起きています。取引された戸数の数は、引き渡しが完了した物件ですので、実際の契約は1カ月半ほど前になされているわけです。つまり、年末年始に契約をする人はあまりいませんので、12月は毎年減るのです。

供給は増加、需要は減少の傾向

今年の上がり方は去年に比べて激しいでしょうか。一見して、そのような印象は受けません。ではなぜ取引物件数が去年に比べて5.1%も増えたのでしょう。去年の5月を見ると、4月や6月よりも一時的に減ったのが分かります。それに比べて今年の5月は4月よりも上がっています。どちらもそれほど激しい変化ではありませんが、下がった月と上がった月を比べているので、5.1%も上がったという数値が出ているだけで、分譲マンションが過熱しているというのは言い過ぎではないかと思います。年累積で比べると、取引件数は7.7も減っているのです。それは、グラフ全体を見ても、下がり気味だというのがかなりはっきり分かります。

これがもっとよくわかるのは7ページの現在契約中の取引数です。かなり落ちているのが分かります。また、5ページの成約までの日数を見ても、かなり上昇しており、売れにくくなっていることが一目瞭然です。これは、6ページの新規売出物件が増えていることも原因になっています。もうそろそろ下がり始めるかもしれないという恐れを感じて、売りに出す人が増えているのでしょう。

では、4ページの中央値の推移を見てみましょう。数値で見ると戸建ては1%、分譲マンションは2.9下がっていますが、グラフで見ると、ほぼ横ばいと言う印象です。年累積では、それぞれ0.1%と2.4の下落でしかありません。供給が増え、需要が減っている割には値段が下がってないのはなぜでしょうか。

住宅市場のプラス要因

8ページは、今の調子で売れると今の在庫がなくなるまで何カ月かかるかと言う数値ですが、これも確実に上がっています。しかし、まだ4か月以下で、そう長い期間ではありません。供給過剰になっているのではなく、需給のバランスが取れてきたので、価格が安定したと言ってもいいかもしれません。

住宅市場に大きな影響を与える消費者信頼感指数は、先月、予想を大幅に上回って134.1を記録し、今年初めて130台に乗って去年の秋のレベルに戻り、リーマンショック以降の快進撃を続けています。不動産市場に陰りをもたらした原因の一つとされる住宅ローンの金利はまた下がり始め、その上、連邦準備制度理事会議長は、金利引き下げを暗示する発言をしたばかりですので、プラス要因もあります。24ページは取引の数、25ページは価格中央値を1987年から追跡したものですが、この1年の下落傾向がこれからも続くのか、細かな上がり下がりの一つに過ぎないのかは誰にもわかりません。長期的な視野で判断することが必要でしょう。

CCIM全米認定不動産投資顧問協会)のM4Make Much More Money)

ところで、前述したM4ですが、62017:30からで、参加料は3,000円です。私の話は45分程度で、後は、軽食を取りながら、不動産業者が自分の持ち物件を紹介し、この会がきっかけで取引が成立することも良くあります。住所は、東京都港区高輪2-15-19 高輪明光ビル10Fで、同じビルの2階にCCIM日本支部の事務局があります。予約は必要ありません。不動産業者でなくても参加できますので、ぜひお越しください。