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不動産投資家にとっては大増税!バイデン大統領の税制改革案

 

今日は、マーケットワッチの記事から、バイデン大統領の税制改正案が不動産市場にどのような影響を及ぼすかについて解説します。改正案の一つは、年収百万ドル以上の納税者のキャピタルゲイン税を、現行の20%ではなく、39.6%に上げるという案です。もう一つは、現行の不動産相続の原価ステップアップの廃止案(つまり節税廃止)で、最後は、1031エクスチェンジと呼ばれる税金繰延の買替をキャピタルゲイン$50万までに制限するという案です。

中流階級にも影響がある年収100万ドル以上納税者のキャピタルゲイン税増税

 まず、キャピタルゲイン税ですが、年収百万ドル以上なら、自分とは関係ないと思う人が多いかもしれません。例えば、年収10万ドルの人が、何十年も住んだ家を売るとします。私がホノルルで16年所有した家を売ったとき、$50万で購入し、約$130万で売れましたが、売買の費用や設備投資がありましたので、キャピタルゲインは約65万ドルでした。これはマイホームでしたので、夫婦で$50万の控除がありますし、原価回収(日本で言う減価償却)もありませんので、課税所得は$65万-$50=$15万でした。

しかし、この家を貸していたとしましょう。すると、マイホーム控除がないだけでなく、原価回収で簿価が下がっていますので、ゲインは約90万ドルになります。原価回収分の税率は、日本と違ってキャピタルゲイン税率とは異なりますが、それは別として、これに年収の$10万を足すと、百万ドルになります。中流階級の人でも十分あり得る話だということがお判りでしょう。

さらに、この人が売って間もなく年内に次の物件を買ったとしましょう。現在は、空前の売り手市場ですので、現金のオファーが圧倒的に有利です。そこで、去年儲けた株を$40万売って、不動産の売却手取り金に足して、現金で購入したとするとどうでしょうか。売却手取り金$90万+$40万=$130万の物件を現金で買ったとします。こんなに金利が低いのに、現金で買うのはもったいないですが、買った後で借りればよいだけの話です。売った株の$40万も全部キャピタルゲインだとすると、今年の課税所得は何と$140万になるのです。これだけの収入の税金を払おうと思ったら、その分、株を余分に売らなければ払えません。

不動産相続の節税(原価ステップアップ)廃止案

この法律は不動産のキャピタルゲインだけではなく、全ての投資に適用されますが、不動産のみに関する改正案もあります。不動産を相続したときに、その不動産の価値を、被相続人が購入したときではなく、相続時の市場価値にステップアップ(リセット)するという現行法の廃止です。相続人は、この法律のおかげで、相続してすぐに売るとキャピタルゲインがなく、これが不動産投資の大きなメリットだったのですが、なくなるかもしれません。

1031エクスチェンジ 税金の繰り延べ買替えを制限

最後に、日本にも買替というシステムがあり、それによって税金を繰り延べることができますが、米国にも日本よりさらに有利な1031エクスチェンジ(買替)という法律があります。これによって、投資物件の買替を続けると、最終的に売るまで非課税になります。先ほどご説明したように、相続するときに、価値が相続時の市場価値にステップアップされますので、それも利用すれば、結局税金を払わなくて済みます。これではあまりに不動産投資が優遇されるので、控除されるキャピタルゲインを$50万までにするというのが、今回の改正案です。

可決された場合不動産市場はどうなるか

これらの改正案は、全て不動産投資家にとっては不利なもので、可決されると、施行されるまでに売ろうとする人と、売らないで税法が逆戻りするのを待つ、あるいは持ち続けて、キャピタルではなくキャッシュフローを狙う人に分かれると思われます。一時的には現在の在庫不足を解消できるかもしれませんが、長期的には逆効果です。オポチュニティー・ゾーン(貧困衰退地域再生に向けた税制優遇政策)への投資は増えると思われますが、全体的にはお金が他の投資に流れてしまいそうです。

NAR(全米不動産協会)によると、1031エクスチェンジを利用している人の87%は個人投資家で、2016-19年の全不動産取引の12%が買替です。この法律は、キャピタルゲイン増税以上に、中流階級に影響を与えるでしょう。さらに困るのは、$50万しかキャピタルゲインが控除されないので、1031エクスチェンジを利用した小規模の投資、つまり戸建やコンド投資が増えるということです。需要が増えると、価格はさらに上がるでしょう。

トランプの減税策の結果とバイデンの増税案の行方

2017年のトランプ政権による税制改革は、減税策でしたが、住宅ローンの金利の控除を制限しましたので、不動産市場に悪影響があるのではないかと危惧されていました。しかし、その心配は無用で、需給のギャップが今の売り手市場を後押ししています。バイデンの税制改革も、心配するほどのことはないかもしれないという見方がありますが、私はちょっと悲観的です。

理由は、キャピタルゲイン増税にしても、1031エクスチェンジの改正にしても、小規模な投資家を守ろうとして、小規模な投資が相対的に有利になるだろうということです。過熱市場で、大規模な投資の増税を図ることにより、庶民が買える物件がさらに急騰することは、望ましいとは思いません。相続時のステップアップ廃止はいいと思いますが、これを廃止すれば、1031エクスチェンジを改正するほどの必要はないと思います。

また、現在の法案通りに可決されないとしても、小規模不動産投資が大規模なものに比べて有利になり、価値が上がる可能性が高いので、今のうちに購入するのも一つの案かもしれません。その場合は、戸建てと値段がそう変わらない4戸以下の多世帯住宅をお勧めします。

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アメリカ・バイデン大統領の税制改革案
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