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Airbnbが1万人以上のアフガニスタン難民に住居提供

2021年8月、米軍が一方的にアフガニスタンから撤退し、通訳などの仕事をして、米国永住を約束されていた多くのアフガニスタン人が取り残されました。脱出できた人たちは、現在、米国各地で新しい生活を始めていますが、今日は、Airbnbがそれに一役買っていることを解説します。

Airbnbの非営利団体がアフガニスタン難民を支援


AirB&B、2万人のアフガニスタン難民に無料で住居提供(インマン2021年8月24日)

 AirB&Bには、AirB&B.orgと言う非営利団体があり、過去4年間に25,000人もの難民に仮住まいを提供してきました。カリフォルニア州の山火事など、国内の自然災害の被害者に仮住まいを提供したこともあります。今年の初め、難民や亡命希望者のために難民基金を立ち上げたのですが、それに寄付された$2500万のお金を使って、2万人のアフガニスタン難民に住居を提供すると発表したのです。

基金のお金は、国際救済委員会、チャーチ・ワールド・サービス、HIASなどの団体に、緊急資金援助として提供されました。また、7,000人の一般市民がそのために家を提供し、2021年12月16日時点で、10,742人のアフガニスタン難民に、住居を無料あるいは家賃を割り引いて提供できたそうです。賃貸の期限はなく、必要のある限り、提供し続けるそうです。

一般市民も住居提供のチャリティーに参加

2021年3月からAirB&Bで自宅を宣伝し始めたメリッサさんは、ハリケーン・アイダで住むところを失った家族にも仮住まいを提供したことがありました。地元のYMCAから、7人家族のアフガニスタン難民の受け入れ先を探していると聞き、自宅を開放したのです。娘さんが大学に入って、大きな家に一人住まいだったので、自分も寂しい思いをしなくて済んだと語っておられます。法人の社会的責任は日本でも盛んに謳われていますが、これは、法人だけでなく、その顧客である一般市民も参加しなければ達成できなかった点が、ユニークです。

1万人のアフガニスタン難民に住居提供(AirB&Bニュース2021年12月15日)

アメリカ人流の「おもてなし」

  日本は、おもてなしが良くできる文化です。オリンピックの東京誘致にも、おもてなしが大きな役割を果たしました。しかし、アメリカ人は日本人ほどおもてなしをしてくれないかと言うと、そんなことはなく、その仕方が違うと思います。出張先で古い友人などを訪ねるとき、日本の方から泊って行けと誘われることは滅多にありませんが、米国ではそれほど親しくなくても誘われることが多いです。すごいご馳走を出してくれるとか、高価なお土産をくれるようなことはありませんが、家族の一員のように接してくれるのです。

もちろん、米国の家は日本より大きいということはあるでしょう。もう一つの違いは、日本人はプライバシーを大切にしますが、アメリカ人はオープンです。また、アメリカ人は、家が汚いとか、ちゃんとおもてなしができないことが恥ずかしいなどと思う感覚が少ないのです。AirB&Bも、多分日本では家の一部を貸すということはあまりないと思いますが、米国では、メリッサさんのように、空いている部屋を貸すことはよくあります。

なぜアメリカ人はチャリティーを大事にするのか

 米国はチャリティー大国です。ある東京工業大学の博士課程の学生さんから、突然電話がかかってきたことがありました。ハワイに移住した日本人が、どのようにアメリカ人と同じように多額の寄付をするようになったか、その歴史を調べているので、お話を聞かせてほしいというのです。日系人が他のアメリカ人のように寄付をするようになったかどうかなど、私は知りませんでしたので、お断りしましたが、どうしてもと言うので、うちに来て頂いたことがありました。なぜ工業大学の学生さんがそんなことを調べていたのか分かりませんが、日本人もアメリカ人のようによく寄付をするようになってほしいと語っておられました。

なぜアメリカ人がこれほど寄付をするのか、二つ思いつくことがあります。一つは聖書の影響でしょう。チャリティーが極めて重要なことであると初めて教えたのは、聖書だと言われています。旧約聖書では、収入の1割を寄付することを教えており、実行している人の割合はそう多くないと思いますが、それを目標としている人は多いと思います。

政府に頼らないという考え方

 しかし、米国だけがキリスト教国ではありませんので、他にも理由があると思います。それは、政府に頼らないという考え方ではないでしょうか。自由の国アメリカとよく言われますが、何からの自由かと言うと、政府からの自由なのです。今の時代はぴんと来ないと思いますが、米国は、ヨーロッパの王政を逃れて来た人たちが築いた民主国家です。政府には、抑圧もされないが、頼ることもしない、と言う考え方です。

クリーブランド大統領(1837~1908)

 1885年に就任した第22代クリーブランド大統領は、非常に正直な人格者として知られていました。彼は民主党でしたが、今の民主党とはかなり違って、政府が大きくなり過ぎて国民の自由を奪うことを恐れました。第一期の4年間だけで、何と414回も拒否権を行使し、議会がすると決めたことを止めたのです。それまでの全ての大統領を合わせた数の倍以上です。その中でも有名なのが、旱魃に苦しんでいたテキサス農民への$10,000の援助でした。当時でも、$10,000と言うのは大した額ではありませんでしたが、彼は、拒否権を行使するにあたって、以下のように述べています。

「逆境に苦しむ同胞の救済は、常にわが国民の親善とチャリティーに寄り頼むことができる。」(1887年2月16日)

社会的責任は個人にもある

 私事で恐縮ですが、日本に住んでいる米人の友人が、コロナ禍、ニューメキシコ州に引っ越した両親を訪ねました。ルイドソと言う小さな町だと言われて思い出したのですが、10年前、その地域で大きな山火事があったとき、後始末の作業のボランティアに行ったことがありました。泊まっていた教会の近くにレストランがあり、「困っている方はタダ。神の祝福がありますように」と書いた看板が置いてありました。

裏の倉庫には山のように寄付された物資が積み上げられており、必要な人には無料で配っていました。後始末の作業など、色々な人の相談に乗ってあげて、よくまあ夫婦二人でこれだけのことができるものだと感心したことがあります。そのレストランの話を友人にしたところ、その友人のご両親もそのレストランが大好きで、しょっちゅうそこで食事しているとのこと。10年前もそうでしたが、いつ行っても満員だそうです。

その時に気が付いたのですが、一週間の滞在中、連邦政府や地方自治体のお役人に出くわすことは一度もありませんでした。各団体のボランティアにはいたる所で遭遇しましたが、日本でも、東日本大震災以降、被災者のためのボランティア活動が盛んになったと思います。AirB&Bのこのニュースは、社会的責任を法人に求めるだけでなく、私たち一人一人の責任でもあるということを教えていると思います。

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今日は、AirB&Bのアフガニスタン難民救済活動について解説しました。またこの動画が良かったと思ったら、グッドボタンを押して頂ければ励みになります。このチャンネルではハワイの物件情報や、アメリカ・ハワイの不動産マーケットの情報をお届けしています。アメリカの不動産に興味のある方、ハワイで不動産を持ちたい方は是非チャンネル登録をお願いします。

AirB&Bが1万人以上のアフガニスタン難民に住居提供
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