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Zillow(ジロー)、iBuyer撤退の反響 ーインマンー

先週は、2006年に創立された不動産ポータル最大大手のジローが、iBuyer(ITを駆使した薄利多売の転売)事業から撤退したという大ニュースを紹介しました。今日は、ジロー創立からiBuyer撤退までの成り行きと、このニュースへの不動産業界のリアクションを解説します。

Zillow(ジロー)の創立

資金面で最もジローに関わった人は、マイクロソフトで活躍し、ネットフリックスの創設にも貢献したジェイ・ホーグと言う方です。彼がジローに投資したおかげで、他にも投資家が集まり、収益はないが、お金は腐るほどあるという状態でした。最初にしたことは、閲覧者数が、全米のアダルトサイトに匹敵すると言われるほど大人気の、不動産ポータルです。

ジローの不動産サイトがアダルトサイトと大接戦

その後、サイトを見て物件に興味を持った人が、不動産エージェントに連絡できるようにするため、物件ページに買い側のエージェントになりたい人の宣伝を載せるようにしたのです。しかし、これは愛憎関係になりました。フィーが高いばかりでなく、将来ジローが仲介に参入し、従来の仲介業者のシェアを取るのではないかと、非常に恐れられていました。先日も、月$5,000払っていたエージェントが、それだけの価値がないと言って$1,000に下げ、ジローを非難している記事がインマンに掲載されていました。

ジローさん「私のせいじゃなくて、あなたのせいですよ」:

賢いエージェントが案件情報購入をしなくなった理由

iBuyerへの参入

 ソフトバンクも投資しているオープンドアなどが、iBuyerビジネスを始めたとき、ジローのリッチ・バートンCEOは、一部の反対を押し切って、遅れてはならじと、2017年、このモデルに飛び乗ったのです。今まで戸建てに手を出さなかった機関投資家も、手間をかけずに大量に購入できるこのモデルに興味を持ちました。また、コスターと言う商業系トップのポータルが居住系に乗り出してきたことも、負けてはならじと差別化を図った原因だったと思われます。

従来のエージェントは、自分たちのシェアが減ることを恐れましたが、ジローは当初、他社のエージェントを使って転売するという方針でした。私はそれでは売買経費がかかり過ぎてビジネスが成り立たないと思っていましたが、案の定、今年1月にエージェントを雇い始めたのです。通常米国のエージェントは自営業ですが、ジロー社員になったエージェント達は、サイトを見て問い合わせてくるお客さんに対応すればよいだけで、新規のお客さんを掘り起こす必要がなく、営業にかける時間が減り、生産性が上がり、一つの物件取引にかかる経費が減るわけです。

失敗に終わったiBuyer事業

 しかし、3年半かけたこの事業は、結局$10億の損失に終わりました。今年の第三四半期に購入し過ぎたという戦略的な失敗や、他社にはない巨大ポータルのデータを利用して、ゼスティメートと名付けたAI査定に頼り過ぎたということも言えるでしょう。以下は、iBuyer大手3社の1戸当たりの純損益です。

2021年iBuyer1戸当たりの純損益

 今年の第一四半期と第二四半期を比べたものですが、ジローは、少々改善されたとは言え、1戸当たり$28,284の損失です。しかし、オープンドアも第一四半期は$12,000以上の損失があり、シェア3位のオファーパッドもほぼゼロでした。今の米国の不動産市場では、1年にざっくり20%価格が上昇していますので、購入して改装して売る準備ができた頃には、既に数%上がっているという計算になります。それでも純利益はこれだけしかないのです。

オープンドアの粗利益と住宅価格の高騰

それは、オープンドアの粗利益の推移を見てもわかります。このグラフのピンクの線は、購入時と売却時を比べた価格上昇率です。今年の第二四半期には、何と購入価格よりも9%高く売れていますが、2019年は3%でした。ピンクと青の線の間隔が、騰貴以外のマージンで、不動産市場が不況でも儲かるようにするためには、これがもっと広くなければなりません。改装によって、その費用を上回る価格の上昇も発生するでしょうが、不動産市場が正常化して、また3%に戻ったら、経営は困難だと思われます。

なぜ薄利なビジネスを続けるのか

日本の転売とは大違いで、無知な素人の売主からずいぶん安く仕入れて、うわべだけきれいにして高く売って大儲けと言うビジネスではありません。何でこれだけしか儲けないのかと思うかもしれませんが、彼らはそんなけち臭いことを考えているのではなく、将来iBuyerが米国の住宅売買の主流になって、そのシェアを獲得しようという国盗り合戦なのです。

もちろん、問題はそううまく行くかどうかです。これらのグラフを見ていると、そうは思えません。その原因は、売主は買いたいという人に売ればいいだけなのに、わざわざそれをiBuyerが買って、その上で買主に売るという、非常に手間と費用のかかるモデルだからです。オープンドアの株価は、今のところ安定していますが、あのジローの転売事業が失敗したとなると、このモデル自体の信ぴょう性に関わる問題です。

 

オファーバッドCEO:ジローの愚かさは「最速」を目指したこと

iBuyerシェア3位のオファーパッドのブライアン・ベアーCEOも、ジロー撤退についてコメントしていますが、オファーパッドが不動産の専門家を雇い、不動産テクに投資したのは、iBuyerの「ロジスティックが非常に重いモデルだからだ」と述べています。私なら、もっと軽いモデルに投資しますが、どうでしょうか。

Zillow(ジロー)のiBuyer撤退はAI査定の不確実性が原因?

iBuyerのモデルよりも信憑性を失ったのは、物件のAI査定です。リッチ・バートンCEO本人が、ジローのAI査定が正確でないことが撤退の大きな理由だと述べています。あれだけの情報を持つジローでさえ信頼できるAI査定をすることができなかったということは、世界に同じ商品が一つとないという不動産市場における、現時点でのAIの限度を示しています。

ジローが転売撤退:知っておくべき五つの事柄

以前からiBuyerに否定的だったインマンの寄稿者マイク・デルプリート氏は、ジローはパワーバイヤーになるだろうと予想しています。アメリカ人は人生に6-7回自宅を買い替えますが、売らないと次の物件が買えないというジレンマがあります。パワーバイヤーとは、彼自身が使い始めた言葉ですが、つなぎローンなどの方法で、このジレンマを解消してくれるモデルです。私のブログでも多くのモデルを紹介しましたが、ジローやオープンドアほどベンチャー資本が集まらなくても、確実に成長しています。今後が楽しみです。

アメリカ:マイホーム購入資金調達の新しいビジネスモデル9選

 

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