ホノルルのバケーションレンタル規制とは
ホノルルのバケーション・レンタルの規制は8月1日から始まりましたが、その後どうなったか、簡単にフォローしておきたいと思います。まず、この規制の施行は、宣伝媒体を取り締まることによってなされますので、多くのバケーション・レンタル物件のオーナーは、8月から宣伝を止めただけで、既に入っていた予約をキャンセルすることはしなかったようです。そのためか、ハワイ州旅行局の調べによると、8月のバケーション・レンタルは増えており、規制の効果が出始めたのは、9月からのようです。
罰金は、それまでの1日$1,000から$10,000に引き上げられましたので、規制の効果は覿面で、現在までに違反の通知が225件、そのうちすぐに是正されたものが131件、まだ是正されておらず、罰金が科される可能性のある物件は現在14件、実際に罰金が科された物件はまだありません。
規制後の各地の状況
10月のオアフ島(オアフ島=ホノルル市)のバケーション・レンタルは、去年と比べて5%減ですが、ワイキキは増えており、ワイキキ外は23.4%減です。ワイキキ外にはバケーション・レンタルができる物件が少ないので減ったのですが、規制対象外物件の多いワイキキは、9月は19%、10月は23%も増えたということです。マウイ島、ハワイ島、カウアイ島もバケーション・レンタルがかなり増えており、オアフ島の規制の恩恵を受けているのかもしれません。
10月のバケーション・レンタル
島
|
2018年
|
2019年
|
変化%
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オアフ |
271,445
|
257,264
|
-5%
|
マウイ |
251,128
|
323,332
|
29%
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ハワイ |
193, 978
|
225,100
|
16%
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カウアイ |
110,559
|
144,008
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30%
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この表は、ハワイ4島のバケーション・レンタルの延べ日数です。オアフ島の場合、257,264日ですので、31日で割ると、少なくとも8,300戸の物件がバケーション・レンタルとして賃貸されているということになりますが、31日すべて稼働することはありませんので、実際の数はもっと多いということになります。
規制の影響と混乱
全ての島に何らかの規制がありますが、今回の規制はオアフ島のみで、最も厳しく、明確に理解できなくてバケーション・レンタルをいったん止めて、10月に再開した物件もあるようです。9月は前年比で7%減の241,811だったのですが、10月が5%減にとどまったのはそのせいではないかと思われます。
考えられるもう一つの理由として、バケーション・レンタルができないビルに指定されたワイキキ・バニヤンのオーナー組合が、市の決断に反対したため、10月17日に裁判所が規制の停止命令を出し、少なくとも最終結果が出るまではバケーション・レンタルが認められることになりました。バニヤンは876戸もありますが、そのすべてがバケーション・レンタルをしているわけではありません。
混乱のある物件はワイキキ・バニヤンだけではありません。同じくワイキキのイン・オン・ザ・パークは、現在のところ規制対象物件ですが、ここもオーナー組合が市と協議をしているところです。名前からして、Innというのは宿という意味で、各ユニットには台所がありませんから、この建物は居住系ではなく、アパートではないということです。ゾーニングはアパートですが、ホテルとして建てられたのですから、規制対象外だというのがオーナー組合の言い分です。この物件は土地付きではありませんので、仮にバケーション・レンタルが認められたとしても購入はお勧めしませんが、どのビルが合法と認められるかは、まだまだ論議が終わらないようです。
バケーション・レンタルが可能な投資物件を探すなら
ワイキキだから大丈夫だとか、ゾーニングがリゾートでないからダメと簡単に考えないで、市に直接問い合わせてください。自分が売っている物件が規制対象であるかどうかさえ知らない業者が驚くほど多いのです。実は、今日もある物件の内見をしたのですが、売主の業者は、その建物ではバケーション・レンタルができないと思い込んでいました。
オアフ島のホテルの10月の稼働率は、前年比1.3%増で82.6%。ホテル代は一晩平均$239で、前年比でわずか0.9%の上昇率でした。それに比べて、オアフ島のバケーション・レンタルの稼働率は前年比4.3%増で72.4%。宿泊代は一晩平均$160で、前年比14%増です。ということは、総収入は1.043×1.14=1.18902で、19%増です。経費の中には、売上が上がっても増えない固定費もありますので、営業純利益はそれ以上増えているということです。
8月1日以前にどれだけ先まで予約が入っていたかは物件によって異なるでしょうし、個々のオーナーが何月以降の予約をキャンセルしたかはわかりませんが、今年いっぱいの予約はそのままにしておいて、来年の予約はキャンセルしたオーナーが多いのではないかというのが一般的な見解です。ということは、来年のバケーション・レンタルの供給はさらに減るということになるでしょう。規制対象外物件の価格はまだそれほど上がっていませんが、購入を検討中の方は、お急ぎください。
追記
8月の規制改正は、施行が厳しくなったというだけで、元々特定の条件が整っていない限り短期賃貸(一か月未満)は違法でしたので、法律を順守していた物件は、1か月単位で賃貸していました。メインランドやヨーロッパの観光客は、2-3週間の長いバケーションを取る方も多いので、規制改正前から1か月単位でバケーション・レンタルをしていた物件もかなりあったのです。
ところが、短期賃貸ができない物件は、お客さんが、1カ月間、物理的にその物件に滞在しなければいけないということになったのです。しかし、1か月借りても、全期間その場に滞在することは無理です。なぜこのような法律を作ったのか、その意図がよく分かりませんでしたし、この法律をどのように施行するつもりなのかも明確ではありませんでしたので、私も不思議に思っていました。
新しくできた法律によると、1か月以上の契約であれば、実際の滞在期間が何日であろうとかまわないということになりました。しかし、契約期間が重なってはいけませんので、契約は年間最高12回までということになります。