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不動産IT企業が住宅ローンに参入も、逆に住宅ローン業の仲介参入で激震-インマン-

今日は、iBuyerなどの不動産IT業社が住宅ローンに手を出し始めていること、その逆に、住宅金融業者も仲介に参入していること、またそれぞれの規模や将来の見通しについて、インマンの記事から解説し、自分の意見も述べたいと思います。

不動産IT業者が住宅ローン業界に参入したが・・・

従来の業界秩序や商習慣にとらわれることなく、斬新なビジネスモデルを市場に持ち込んで、あっという間に顧客を獲得して急成長するプレーヤーを、「破壊者」(disruptor)と呼びますが、iBuyerなどのIT不動産業者も、その一つです。彼らの中に、収益性を向上させるため、住宅ローンに参入する会社が増えています。

ローンを出すために雇われるのが、MLO(mortgage loan originator)と呼ばれる人たちで、住宅ローンのプロセスで中心的な役割を果たします。これらの新興不動産IT企業がどれだけ不動産ローンに力を入れようとしているかを見るには、彼らがMLOを何人雇っているかを見ると、すぐにわかります。

それでは早速比べてみましょう。左から、ハウザー、オファーパッド、オープンドア、オーチャード、トモ(「おもてなし」の最初の4文字を逆に並べてつけた名前だそうです)、リアリ、フライホームズ、ホーミー、ホームワード、ノックです。各社、5つの棒グラフがありますが、2021年5月から9月までのMLOの数の推移を表しています。

特に、トモや、最近多額の資金調達をして話題になったホームワードは、急成長しています。ノックも多いですが、元々つなぎ融資の会社で、仲介業者ではありませんので、ここに名を連ねること自体おかしいかもしれません。私が以前書いたブログでは、将来仲介業に参入するという予言をしましたが、外れても責任は負いません。

大野純司の大予言:つなぎローンのノックは仲介を始める!?

 

話題性の高い会社が多いですが、これにジローを加えると、こうなります。

最近のブログでもふれたように、住宅ローン参入は決してうまく行っているとは思えませんし、MLOの数も毎月減少していますが、他社とは比べ物にならない数です。さすがはジローと思いきや、これにIT住宅ローン企業とも呼べるべきベター・モーゲージを加えると、こうなります。

iBuyerのオープンドアの住宅ローンを借りる人が激増?ーインマンー

 

5-9月の推移は表されていませんが、ジローの約10倍です。これこそ正に$10億の資金調達をした住宅ローンビジネスの「破壊者」。と思いきや、これに住宅ローン業界の巨獣、ロケットを加えると、こうなります。

覚えていらっしゃるでしょうか。最初のグラフに出てきた企業のMLOは10~40人ほどでした。ロケットは、1万人を超えているのです。ローン総額も、ほぼMLOの数に正比例しており、2021年第1四半期の融資総額は、ジローが$12億、ベターが$140億、ロケットは$650億です。

住宅ローン業界の巨獣が続々と不動産仲介業に参入

 IT不動産業者は、ローンを出すことによって仲介業のシェアを伸ばそうとしているのであって、住宅ローン業界で占めるシェアが小さくても問題ないと思うかもしれませんが、そうはいきません。なぜなら、ベターもロケットも、仲介業に参入したのです。この記事の論点は、不動産破壊者が業界を破壊する前に、住宅ローン業界が彼らを破壊するかもしれないということなのです。

果たしてどうなるかを調べるためには、ベターやロケットの不動産エージェントの数を、他の不動産破壊者のエージェントの数と比べなければならないでしょう。しかし、それ以上に重要だと思われる点は、仲介業と住宅金融業と、どちらが消費者を引き付ける要素を持っているかだと思います。

仲介業がローン業に参入するメリットと、ローン業が仲介業に参入するメリット

 仲介業者が住宅ローン業界に参入する理由として、iBuyerに関して述べると、収益性の改善ではないかと思われます。彼らの顧客にとって、ローンも同じ会社からもらえるというのは便利かもしれませんが、結局は他の住宅ローンを比べて、より条件の良いものを選ぶでしょう。

それに比べて、まず旧居を売ってからでないと新居を買えないというジレンマを解決するモデルが幾つかありますが、これらのモデルは、ローンなしには成り立たないモデルですので、顧客が彼らのローンを利用する必然性があります。しかし、買い換え以外のお客さんにとっては、必要ありません。

住宅購入全般に言えることですが、まず自分がどれだけのローンを借りることができるのかを調べてから家探しをする人は、多いと思います。消費者が、ベターやロケットにローンの相談をしたいと思わせる理由があれば、そこからお客さんを捕まえて仲介に結び付けることができ、雇われているエージェントは、営業に無駄な時間を費やすことなく、仲介の実務に専念すればよいだけです。そうすれば、自営業のエージェント以上に取引数をこなすことができ、コミッションを下げても、十分な収益があるでしょう。

不動産仲介業の商習慣が破壊される可能性

 今、仲介コミッションは、NAR(全米不動産協会)や従来の不動産フランチャイズを被告人とする米国司法省などによる訴訟や、バイデン大統領が進めようとしている雇用改革により、仲介業者がエージェントを雇用しなければならなくなる可能性などを考えると、まさに今までの商慣習が破壊される可能性があり、これらの住宅金融企業は、それに拍車をかけることによって、仲介のシェアを伸ばすことができるかもしれません。

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 今日は、iBuyerなどの不動産IT業社が住宅ローンに手を出し始めていること、その逆に、住宅金融業者も仲介に参入していること、またそれぞれの規模や将来の見通しについて、インマンの記事から解説しました。このチャンネルではハワイの物件情報や、アメリカ・ハワイの不動産マーケットの情報をお届けしています。アメリカの不動産に興味のある方、ハワイで不動産を持ちたい方は是非チャンネル登録をお願いします。

不動産IT企業が住宅ローンに参入も、逆に住宅ローン業の仲介参入で激震
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